Fulcrum RacingZero 通称「レーゼロ」といえばロードバイクホイールの定番中の定番。
今回、レーゼロ・ディスクブレーキを借りてきたので早速車載してみたら……?
というわけで、今回はレーゼロのフリーボディ(FWB)のベアリング(B/G)交換と前後ハブのグリスアップやってみました。
Fulcrum RacingZero DB 2WAYFIT借りてきた

息子さんが借りてきたRacingZero DB 2WAYFIT。
Emonda君に載せてみたらシフトチェンジが全然決まらないし、そもそも回転音がおかしすぎる。

よ~くみるとスプロケがガタついているじゃん。
ロックナット締めても直らない。
スプロケ外してみるとフリーボディーにガタがある。
どうやらフリーボディーのベアリングがダメになっているっぽい。
というわけで、初めてのレーゼロメンテ・フリーボディーのベアリング交換に挑戦です。
レーゼロ・リアホイールアクスルシャフト取外

今回借りてきたレーゼロは、アクスルシャフト取外しに専用工具がいるタイプのようだ。
ただこの工具5600円もする!
(その後4000円まで値段下がってた。それでもちょっとね~)
ちゅうわけで11㎜の六角600円で代用。

(写真は取付時のもの)
専用工具は角が丸くなっていてシャフト内側にぴったりはまるようになっている。
六角だと角が立っているので嵌合がイマイチだけど、締め付けトルクは15Nmと低いのでなんとかなるだろう。
フリーボディー側の17㎜ロックナットは逆ネジなので要注意。

無事、アクスルシャフトが外れました。
コーンとコーンプッシュの順番やスペーサーの向きに要注意です。

取り外す過程を動画撮影しているつもりだったのですが撮れてなかった。
動画撮ってるからと写真も撮っていなかったので途中経過の記録が皆無なのが悲しい。
自転車は部品点数少ないし最悪マニュアルとパーツリストで確認できますが、初めての作業時には工程の動画や写真の記録をとりたいところです。
レーゼロ・フリーボディーベアリング交換

トップ側ベアリング取外し
アクスルシャフトを抜いたらフリーボディーベアリング取外し。
はじめにポールスプリング(pawl s/p)外してポール(ラチェット爪)を外しておきます。

レーゼロのフリーボディーは両サイドにベアリングが圧入されています。
まずは外側(トップ側)のベアリングから外しましょう。
内掛け式のベアリングプーラー使いたいところですが、メカ時代に使っていたやつはあげちゃった。
それほど強い圧入ではないようだし、どうせ外したB/Gは使わないので叩き出します。

ベアリング外周をなるべく均等に叩いて行くと、サビサビ・ガタガタのB/Gが外れてきました。
ちなみに、ベアリングがカンタンに外れちゃうようならフリーボディーがヘタっているのでAssyでの交換が必要とのこと。
ロー側ベアリング取外し

ロー側(内側)のベアリングはCクリップで固定されているので、まずはCクリップを外します。
このサイズのスナップリング(サークリップ)プライヤーは先端が細いので安物はダメになりやすい。
まともなメーカーのものがやっぱ使いやすい。
TZのT/M交換ではムチャクチャ使うのでKNIPEXを愛用してました。
Cクリップ外したらこちらも叩き出します。
ロー側ベアリング組付け

新しいベアリングを組付けます。
今回はNTN6803LLBを使います。
ベアリングプレスもTZメカ時代のものはとっくに無いので、CXのBB組んだ時に買った激安ベアリングコンプレッサーのスペーサーを逆に入れて代用。

細長いカラーがないのでロー側B/Gの位置までは押し込めない。
カラーつくるのも面倒なので叩き入れます。
B/Gアウターにピッタリ当たるサイズのBOXを流用。

最後まで入ったらCクリップを取り付けます。
Cクリップには向きがあるので要注意。
面取りしてある方が押える側つまりB/G側が基本。
奥まった位置のCクリップはカッチリ入り切っていないことが良くあるので、Cクリップが溝に完全にはまっているかしっかり確認します。
ボディー内部にシマノプレミアムグリスをたっぷり入れた後、カラーを挿入。
トップ側ベアリング組付け

トップ側も新しいB/Gを圧入。
こちらは浅い位置なのでスペーサーを逆に使えばBB用のプレスでも入ります。
トップ側のベアリングはボディーにしっかり圧入しつつカラーが自由に動く位置で止めるのがポイント。
ポール(Pawl)とポールスプリング(Pawl S/p)組付け

ベアリング圧入の次に大事な作業がポールスプリングの組付け。
まずはラチェット爪(Pawl)とスプリングが入る溝にシマノハブグリスを塗布。
ポールをボディーに組み付けたらポールスプリングをセットします。
曲がっている先をボディーの穴に入れてスプリングを溝に沿わせて回していく感じ。
スピリングがしっかりはまって、ポールがちゃんと動作するのを確認。
これでフリーボディーの作業は完了。
リアハブベアリンググリスアップ

ハブベアリングをホイールから外すとき。
ベアリングボールをリテーナーから外すとき、清掃時、組付け次、それぞれハブB/Gのボールを失くさないように大注意です。
なるべく深いバットやボールでやるのはもちろんですが、そのバットを透明なビニール袋にいれてその中でやるのが確実です。
とくにリテーナーに組み付けるときに飛んでいきやすいのですが、ビニール袋の中で作業していればボールを落としたり飛んでっても大丈夫。
ホイール側のベアリングレースとハブの内側にたっぷりとシマノプレミアムグリス。
ベアリングを組付けたら、再度グリスを塗布します。
最後に、シールを溝にカチッとはまるようにしっかりと組み付けて完了。
リア・アクスルシャフト組付

外した順番で組んでいけば難しい作業ではありません。
ただ、勢いよく入れたり強く入れると、さきほど組付けたハブベアリングを飛ばしかねません。
ゆっくりと丁寧にアクスルシャフトをホイールハブに通していきます。
フリーボディー組付け

ホイール側のラチェットリングにシマノハブグリスを塗布。
マニュアルではラチェットリングの75%にグリスを充填しろとのこと。
けっこうな量を入れる感じですね。
シャフトの一部断面はおむすび型になっていて、フリーボディーの内側のおむすび型とはまるようになっています。
がむしゃらに押しても入らないので要注意。
Rホイールロックナットと調整リング締付

フリーボディー組付けたらロックナットで締結。
締付トルクは15Nmなので、高価な専用工具ではなく11㎜六角でも十分だと思います。
ロックナットは17㎜の逆ネジ、つまり締めるときは左回りなので要注意。

最後に調整リングのロックネジ2.5mmを締め付けます。
ここは2.5Nmなので、かる~く締めるだけでOK。
締め過ぎて固着すると超大変なので締め過ぎには要注意ですね。
調整リングの固定ネジは2.5mmと細いのでBPなど品質の良い六角がおすすめです。
レーゼロ・Fホイールハブメンテ

リアW/Hがあの状態だからフロントもかなりきていそう。
ちゅうわけでフロントハブも外して掃除、グリスアップしてみます。
アクスルシャフト・ハブ取外

このレーゼロ・フロントホイールはアクスルシャフトの取り外しがむっちゃカンタンです。
- 調整リングとカップを外す:調整リング外せばカップも一緒に外れる。
- 写真のようにコーンプッシャーをドライバーなどで浮かせて外す。
- シャフトを押しても抜けなければプラハンで軽く叩くとすぐに外れる。
- シャフトを抜くときコーンも抜けるので落とさないように。
今回は調整リングのストッパー2.5mmが超固くてかなりビビりました。
ここのネジ舐めたら超メンドイですから外れて良かった。

シャフトを抜いたら、あとはシールとハブベアリングを外して掃除とグリスアップ。
リアのハブとやることは同じです。
ハブベアリングのボールを失くさないことが最重要といえるかも。
アクスルシャフト・ハブ組付

外すのと同様、組付けもカンタン。
- ハブベアリングに当たったりしないようにシャフトを挿入。
- コーンを挿入:マイナスドライバーで押し込むよりBOXで押し込む方がカンタンで確実。
- コーンプッシャーを挿入:こちらもBOXで押し込めば均一にできて簡単。

- 調整リング組付けと2.5mmストッパーネジ締付。
- トルクは2.5Nmだから本当に軽く締めるだけ。
- 終了。
球当たり調整

Fulcrumのマニュアルでは調整リングの締め付けは止まるまで締めて1/4戻しが基本。
構造的を考えれば締めすぎも緩すぎもNGなのはわかるが、最適解はなかなか難しい。
自分的にはプリロードをしっかりかけた状態からごくわずかに動く程度まで緩め。
動かなくなるまで少しずつ締めてみた。
緩すぎてハブB/Gをダメにするより、ちょい重くなるがちょっと締めてある方が安心かな。
実走して馴染めば緩くなる方向にいくし。
今回使ったFulcrumマニュアル

- 5GMUFD:リアホイール
- 2S354P:フロントハブ
- HJOMB2:球当たり調整
- NSIOMG:cup and cone mechanism
- H2EA5N:2024パーツリスト
フロントに関してはドンピシャのマニュアルがなかったが、cup and cone mechanismで理解できる。
ベアリング交換使用工具など

今回使った工具や材料、本来ならあると良い工具などをまとめてみました。
カンパニョーロ:UT-WHDB001

11㎜六角レンチ
カンパニョーロ:UT-WHDB001の代用工具。
17mmオープンエンドレンチ
リアホイールロックナット。
2.5mm六角レンチ
調整リング用。
しっかりしたものがおススメ。
スナップリングプライヤー
スナップリングプライヤーはKNIPEXがおススメ。
フリーボディーベアリング:NTN 6803LLB

呼び番号6803はJIS規格で寸法が共通。
今回使ったLLBは非接触型のシールなので防水性はほぼなし。
雨でなくても田植の季節に水があふれている裏荒サイとか走った後はメンテしたほうが良さそう。
シマノハブグリス
プレミアムグリスより柔らかい。
シマノプレミアムグリス
固いのでフリーハブには向かない。
BB用コンプレッサー:ベアリング圧入代用
本来はBB用だが、フリーボディーのB/G圧入くらいなら代用できた。
ベアリングプーラー
外したB/Gは基本使わないので外すときは叩きでも良いのだが、構造的に叩けないこともある。
また圧入がきついと叩きでは外せない場合がある。
ベアリングコンプレッサー
長ネジとナットとカラー組み合わせか、自分でカラー造ればBB用でも今回の作業程度ならデキるんだよねえ。
TZのホイールB/G圧入は自作のB/Gプレスでやってたなあ~
【まとめ】レーゼロ・フリーボディベアリング交換
初めてのレーゼロメンテ。
どうなることかと思いつつやってみたが、思いのほかスムーズに完了。
ジョギング中にふくらはぎ肉離れしてしまい、せっかくのレーゼロに当分乗れないのが悲しい。